盗撮事件の解決にはどのくらいの示談金が必要?
盗撮事件を起こしてしまった場合は、いち早く被害者と示談を成立させることが事件解決の近道となります。しかし、示談には示談金が必要であり、実際どれくらい支払うのが妥当なのか、被害者が許してくれるのかなどわからず不安も大きいでしょう。
そこで今回は、盗撮事件の示談金や弁護士費用の相場と盗撮の罰則、示談の重要性・効果をわかりやすくご説明します。
このコラムの目次
1.盗撮を規制する法律
まずは、盗撮を罰する法律について解説します。
どのような法律で盗撮は規制されているのでしょうか。
(1) 千葉県迷惑行為防止条例違反
盗撮は、主に各都道府県が規定する条例により規制されています。千葉県の迷惑行為防止条例では盗撮を特定した規定は存在しませんが、痴漢と同様の規定により処罰されます。具体的には以下の通りです。
千葉県迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)
何人も、女子に対し、公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする。(千葉県迷惑行為防止条例3条2項)
…6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(13条1項)
盗撮行為は「卑わいな言動」として解釈できるため、駅やバス、電車などでの公共の場所において盗撮行為を行った場合には、この規定が適用され、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が課される可能性があります。
(2) 軽犯罪法違反、住居侵入罪
盗撮行為は、他人の住居などのプライベートな空間で行われることもあります。
その場合は、軽犯罪法違反の覗き見(法1条23号)と住居侵入罪(刑法130条)が適用されます。
軽犯罪法
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者”“…罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。(1条23号、2条)刑法
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。(130条)
軽犯罪法違反は、他人の家だけでなく、ビルや商業施設などの建造物、公衆浴場などにおいても適用されます。この場合、同時に住居侵入罪が成立するため、科料などの軽い罪だけではなく、罰金や懲役刑が科せられる可能性もあります。
このように、盗撮の場合は一般的に3つの罪に当たる可能性があります。懲役刑の可能性も否定できないため、早期に弁護活動を開始することが必要です。
2.盗撮事件の示談金の相場
盗撮事件を起こしてしまった場合、被害者と示談をすることが重要です。
この場合、示談を行うには示談金の支払いが必須となりますが、これはどのくらい支払うべきなのでしょうか。
まず、示談金は慰謝料の役割を果たします。盗撮行為によって相手を精神的に傷つけてしまったことに対する償い金を意味します。
示談金を支払い、謝罪を行うことで、当事者間のトラブルを解決し、その後の紛争を防ぐという役割があるのです。
加害者にとって、示談をまとめ、示談金を支払えば、これ以上被害者から請求されることはなくなるというメリットもあります。
盗撮の示談金の相場としては、一般的に30万円程度といわれています。もっとも、事件によって犯罪の態様や被害者の精神的苦痛の程度は異なるため、一概に30万円ということはできません。被害者が納得してくれた金額が示談金とご理解ください。
被害者が許してくれた場合などは10万円程度でも示談を成立させることができますが、逆に50万円以上など示談金が高額になることもあります。
示談金が高額になる事例としては、被害者が有名人・芸能人であった場合や、加害者の社会的地位が高く支払い能力が高い場合などが挙げられます。
「初犯の場合、示談金はやすくなりますか?」という質問はよくありますが、実際のところ初犯であるかどうかは関係ありません。あくまで被害者との交渉でお互い納得できる金額を支払うことになります。
3.示談の重要性と弁護士に依頼する必要性
次に、示談の重要性と弁護士に依頼する必要性についてご説明いたします。
(1) 示談で、不起訴・前科回避の可能性が高まる
盗撮行為で捕まった場合でも、逮捕されず在宅事件となった場合、初犯の場合は「軽く済む」と考えている方が多いかもしれません。
しかし、示談がない場合はこの点を検察官も考慮するため、起訴の可能性は高くなってしまいます。
初犯ではなく、行為態様が悪質と捉えられている、前科があるという場合にはなおさら示談なしで不起訴を狙うのは難しいといえるでしょう。
被害者との示談は、当事者間の和解の性質を持ちます。当事者間におけるトラブルは解決済みという意味を持つため、検察官もこれを考慮し、起訴すべき事案ではないと判断することがあるのです。
被害者の処罰意思も重要視しているため、示談で「処罰望まない」とする文言を加えることに合意してもらえれば、起訴の可能性は低くなります。
不起訴にならなければ、起訴され裁判が始まります。裁判になってしまうと、日本の刑事裁判ではほとんどのケースで有罪となります。
実刑にならなかったとしても、有罪により必ず前科がついてしまうため、これを回避するためにも示談を成立させて不起訴に持ち込むことは非常に重要です。
示談を早期に成立させれば、勾留されることもなく、早い段階で日常生活に復帰できるでしょう。会社や学校にバレる可能性も低くなるため、会社や学校から処分を受ける可能性も少なくできます。
このような理由から、示談のメリットは大きいといえるのです。
(2) 弁護士に依頼すれば事件解決が早くなる
示談を成立させるために本人かご家族から被害者に働きかけを行うと努力されるかもしれません。しかし、実際上は相手の連絡先を知ることも困難といえます。
というのも、性犯罪においては、警察も個人情報の取り扱いに慎重になっており、被害者の意向を汲んで加害者に連絡先を教えないことも多いのです。
この場合、示談が進まず事件解決は遠のいてしまいます。
しかし、弁護士を通してであれば、連絡先を得ることも可能です。加害者に教えないことを約束して、警察から連絡先を入手し示談交渉をすすめることができます。
被害者も弁護士となら交渉に応じてくれることが多く、スムーズに示談がまとまることも期待できます。弁護士は不起訴を獲得するために示談を進めるだけでなく、検察官に陳情を書き、起訴の必要のないことを訴えることもできます。
弁護活動により不起訴になった事案、早期釈放がかなった事案、勾留を回避できた事案はたくさんあります。刑事事件においては、弁護士なしで円滑に事件解決に取り組むのは難しいといえるでしょう。
4.盗撮事件の示談は弁護士にお任せください
盗撮事件において示談は非常に重要です。不起訴を勝ち取るためにも、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
早くご相談いただければその分示談交渉も早く進められ、事件解決までの道のりも近づくためです。
泉総合法律事務所では、刑事事件に精通している弁護士が盗撮事件を担当します。専門家と一緒に、できるだけ早い事件解決を目指しましょう。
初回相談は無料となっておりますので、まずは弁護士費用を心配せずにご相談いただければと思います。
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