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交通事故示談で不利にならないために|被害者に必要な知識を解説

交通事故示談で不利にならないために-被害者に必要な知識を解説-

交通事故に巻き込まれた被害者の方は、大変辛い思いをされていると思います。

初めて示談交渉をするにあたって、保険会社とのやり取りの流れなどをあらかじめ理解していれば、不安も少しはやわらぐのではないでしょうか。

また、重要な交渉のポイント等を知らなかったがために、事故に加えて示談で更に嫌な思いをされることがあっては絶対いけません。

ここでは示談交渉についてぜひ知っておくべきことを説明します。

1.示談

(1) そもそも示談とはどういうもの?

交通事故が起こり人損や物損が発生しますと、加害者に損害賠償を請求することになるでしょう。

このような民事上の問題を解決する手段には、①示談、②調停、③裁判などがありますが、交通事故による紛争は実際のところ示談によって処理されるケースがほとんどです(人身事故のうち約90%以上が示談によって解決しています。)

示談というのは、要するに、事故当事者双方が、話し合いによって紛争を解決することです(法律的には、民法695条の和解契約にあたります)。

例えば、事故によって相手方に怪我を負わせてしまった場合に、ある金額の損害賠償金を分割払いで支払うことを約束する、といった内容を当事者双方で取り決めることです。

(2)示談の注意点

やり直しができない!

示談金額は、お互いの合意で(ただし、公序良俗に反するほどのものでない限り)、自由に取り決めることができます。

被害者の方々には、まず、この点に潜む大きな危険性に注意をしていただきたいです。

つまり、本来受け取ることができるはずの適正額と比べてはるかに低額を提示されているのに、このことを知らずにうっかり示談書を承諾してしまった場合であっても、確定的にその額しか受け取れなくなってしまう、という危険があるのです。

この示談の性質をしっかり理解し、示談の内容にしっかりと納得したうえで示談を成立させる必要があります。

2.示談交渉を始めるベストのタイミング

(1) 示談交渉を始めるべきタイミング

示談交渉は、治療などが全て終了し、全損害額を計算した後に開始するようにしましょう。まだ通院治療中であるような場合には、示談交渉をすべきではありません。

既に述べたように、一度示談が成立してしまうと、その合意内容以上の金額をもはや加害者に請求することができません。

早い段階で示談を成立させてしまうと、例えばその後発生する治療費など、すべての損害を補償しきれない額の示談金しか受け取れない、という危険があります。

(2) 保険会社が示談の成立を急かしてくるときの対応

加害者や加害者側の保険会社が示談の成立を急かしてくるケースが往々にしてあります。

実は、これには理由があります。加害者が刑事責任を問われている場合、示談が成立していれば刑事責任が軽くなることがあるのです。

しかし、もちろんこのような事情は加害者の一方的な都合によるものですから、いくら頭を下げて求められたとしても、あくまで情に流されることなく、治療の必要性などを考慮した上で冷静に示談を進めなければなりません。

(3) 保険会社が治療費を打ち切ってきたときの対応

この逆のケースも考えられます。加害者側の保険会社が治療費の打切りを迫ってくることがあり、被害者ご自身が、目先の治療費、生活費などに困っていることを理由に、示談金のために慌てて示談をしてしまうケースです。このようなこともあってはなりません。

大切なのは、必要な治療を受けて、元の生活に復帰することです。

事故後、何ヶ月経過していようが、医師がまだ治療の必要があると判断しているのであれば、その判断に従ってください。被害者のために設けられている仮渡金制度などを利用して、まずは治療に専念しましょう。

仮渡金制度とは、示談成立前の損害賠償額が確定していない段階においても、差し迫った病院費用の支払いに困った被害者のために、保険金の一部を前払いしてもらえる制度です。

治療の必要性が認められれば、保険会社に支払いを打ち切られた後の治療費も、後ほど請求することが可能です。

(4) 損害賠償請求権の時効

なお、治療が長引く際には、損害賠償請求権の時効のことにも注意を払いましょう。

交通事故によって発生する、いわゆる不法行為による損害賠償請求権というものは、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅すると定められています(民法724条)。

一般的には、交通事故に遭った日に加害者を知ることになるので、事故日から3年以内には損害賠償請求を行う必要があるのです。

ただし、自賠責保険の場合の損害保険会社に対しての損害賠償請求権の時効はさらに短く、原則として事故があった時から2年間に限られます。

この時効期間を過ぎてしまっても、加害者に対しては損害賠償請求できますが、保険会社に対する請求はできなくなりますから、加害者に資力がない場合、実質的に損害賠償が受けられなくなります。この点注意が必要です。

とはいえ、3年(2年)が過ぎてしまった場合であっても、たとえば、交通事故後に加害者や保険会社から、治療費や損害賠償金の一部が支払われた場合には、時効が中断したとして、最後に支払いを受けた日から改めて時効期間が進行することになります。

3.任意保険会社の示談金の初回提示額

示談金の初回提示額は、適正な額と比べてほぼ間違いなく低い!

上記のことは、示談交渉において被害者の方々が一番知っておくべきことです。

実は、損害賠償額には3つの基準があり、それぞれ、

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 裁判基準 ( 弁護士基準 )

となっています。

弁護士が交渉した場合に提示される裁判基準額に比べると、その他の基準額は半分〜1/3に過ぎないのです。

このことを知れば、被害者の方とすれば、裁判基準額で示談をしたいと思うのが当然でしょう。

しかし、どれだけ知識武装をして交渉に望んでも、弁護士に依頼しない限り、加害者の保険会社は裁判基準額にはしてくれません。

裁判基準額はあくまで、裁判などの強制力を伴う手続きを取られた場合にはじめて支払う必要が生じるものであって、この額を任意に支払う義務を保険会社は負っていないからです。

しかし、弁護士が登場しさえすれば、実際に裁判を起こさなくとも、ほとんどの場合は、裁判基準に近い額でまとまることになります。

この点から、適正な賠償額を得るために弁護士に依頼することが必須ともいえるのです。

弁護士に依頼をすれば、裁判をすることなく円滑に和解が成立することが多いです。事故に巻き込まれたときに、ご自身でいろいろと調べて対処しようという心持ちも大切ですが、一人で悩まれることなく、まず交通事故に詳しい弁護士に一度相談されてみるのが、最終的に一番よい結果につながるでしょう。

4.示談交渉の流れ

示談交渉の流れを簡潔にまとめると、以下のようになります。

  1. 損害額の計算
  2. 示談案の作成とその提示
  3. 交渉
  4. 損害計算とその交渉
  5. 示談書の作成
  6. 示談の成

5.示談に必要な書類

  • 事故の発生状況に関する書類
  • 身体への損害を証明する書類
  • 損害賠償額を証明するための書類
  • 身分を証明する書類

がそれぞれ必要になります。

具体的には、

  • 交通事故証明書、事故発生状況報告書
  • 診断書、後遺障害診断書、死亡診断書
  • 診療報酬明細書、領収証、給与明細書又は源泉徴収票、休業損害証明書、納税証明書(給与所得者)または確定申告書の写し(自営業者)
  • 戸籍謄本、除籍謄本(被害者が死亡した場合)

となります。

6.示談書作成時の注意点

(1) 示談書に記載しなければならない項目

示談書は、以下の項目について不備がないように作成しましょう。

  1. 加害者・被害者などの当事者の住所、氏名
  2. 事故の発生日時及び場所、内容
  3. 加害車両の車種及び車両番号
  4. 被害状況(人身事故の場合は、怪我の部位や病名、後遺障害等級などを)
  5. 示談の内容(賠償金額、支払い条件、支払い方法)
  6. 示談書の作成年月日

(2) 示談内容を確実に実行してもらうために

示談交渉が終わっただけで、すべてが解決したわけではありません。示談書を作成し、そして、示談金を実際に受けとった段階で初めて、すべての問題が解決したといえます。

示談金は、示談が成立した際に一括で全額を受け取るのがベストです。しかし、場合によっては、それが不可能なこともあるでしょう。

そのような場合に備えて、示談内容を確実に実行してもらうための工夫として、以下のような方法を覚えておきましょう。

  • 示談書を公正証書として作成し、強制執行の認諾条項(加害者が支払いを怠ったときに、強制執行を受けても異議はないとする条項)を入れる
    (これによって、相手が支払わない場合に、時間やお金をかけて裁判をすることなく、給料を差し押さえたりするなどの強制執行ができるようになります。)
  • 連帯保証人をつけさせる
    (加害者が任意保険に入ってないような場合には、取りっぱぐれがないようにする必要があります。)
  • 遅延損害金の条項を入れる
    (支払期限に遅れた場合、1日あたり一定の利息を支払うことになるため、相手に心理的な圧力をかけ、結果的に支払いを促す効果があります。)
  • 期限の利益喪失約款を入れる
    (分割による支払いを怠った場合、残額を一度に全て支払わなければならなくなるという内容の条項です。)

7.示談が成立しなかった場合

示談交渉が素直にまとまるとは限りません。

当事者同士での示談交渉がまとまらなかった場合には、以下のいずれかの方法で紛争解決を行うことになります。

  • ADRなどの裁判所以外の交通事故紛争解決機関へ、相談や示談のあっ旋を依頼する
  • 裁判所に、調停や訴訟を申し立てる

8.交通事故の示談交渉は弁護士に相談を

不運にも交通事故に巻き込まれてしまった被害者は、怪我による辛さに加えて、加害者や加害者側保険会社との対応など初めてのことだらけで、右も左もわからず不安に苛まされる日々が続いているかもしれません。

治療に加えていろいろな心労を抱えることになって大変な状況ではありますが、特に今後の生活基盤を整える点で重要な意味を持つ示談金に関しては、充分にその内容を吟味し、被害回復のために適正な金額を確保するようにすることが大切です。

知らない間に不利な内容で示談を終えてしまうことがないために、専門家である弁護士にぜひ一度ご相談されることをおすすめいたします。

交通事故の示談交渉は、泉総合法律事務所にお任せ下さい。

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